やぶにらみ見聞録


刺し地とは      


 多くの練習用防具に刺し地が使われていますが、剣士の皆様は刺し地の本当のあり方、使われ方をご存じですか?

その打突への強度と耐久性に対応する為、防具用生地に、地糸より太い糸を生地に差し込んで生地強度を増します。

 防具に多く使用される生地の織り方は、平織りといって縦糸と緯糸が1本おきに織り込まれた物で、経、緯、方向にほぼ同じ強度を持っています。
 練習用防具はその特性から、竹刀の打突に対して特に繰り返しの反復練習による技の拾得に対しての強度が要求されています。  
 そこで力の掛かる部分の布地の補強のため、
地糸を4本以上太くした刺し子糸を布地に刺し込んでいます。

そうした生地を「刺し地」と言っています。

(右面の布地で縦方向に太糸が並んで見えると思います。 これが刺し子糸で、布地を刺し子糸方向に補強します。)




  刺し子糸の太い糸を掬い込んでいる状態
 


 面の布団との閉じ口(面縁革)には打突の際の衝撃が加わり、布地の補強が重要です。
 

右上の面は正しい刺し地方向で作られた面です。

右下の面は刺し地の使い方が縦横方向間違って使われており、強度と丈夫さが上の面と比べ著しく劣ります。

刺し地の方向に注意  
こんな面は購入してはいけない


垂れにおいても同様、上方向に絶えず開いたり綴じたりしていますから、開く方向に対し直角方向に補強刺し子生地を重ね合わせています。
 

甲手布団も頭との取り付け縫い方向に対し直角方向に使用し、甲手の脱着時にかかる甲手頭と布団の接合部の強度を増加させています。