第11回世界剣道選手権大会  


世界選手権裏方参戦記
                  

2003.March. 23-26


 第11回世界剣道選手権大会出場選手団の剣道具のメンテナスを、今回も全日本武道具連合から依頼され、前回京都大会同様「職人会」メンバ−が担当することとなりました。

 お陰様で、多くの素材の提供をして頂いた全武連会員と、自費参加協賛の方々の応援により、世界剣道大会、ボランテイア活動も、「全武連」の名のもと、全うできた事、感謝申し上げます。

 余剰材料、及び持参予備品等は、大会開催国アメリカ剣道連盟役員を中心に、参加各国剣道連盟役員(6カ国)に寄贈してきました

 今回もお陰様にて、危険予測品を複数点発見し、事前に危機回避対応ができ、防具に起因する事故が前回京都同様1件も発生しなかった事を誇りに思います
 
2000年3月23日(木)

 23日夕刻、空港まで付き添いのJTBツア−の奥田氏の(彼は実は剣道関係者で3段の腕前)、旅への不安感を打ち消す笑顔の元に全員集合。 

総勢6名、成田ならぬ名古屋から出発。
書類確認の上機上に。  例によってあっという間に夜を抜けアメリカへ。
 入国審査や通関にうまく立ち回って、手荷物の鹿革類や材料、使用道具等、手荷物無事で一安心。 ブリキ製の菓子箱の中に刃物、鋏類入れてX線監視をクリア−作戦、成功。(内緒内緒)
この段階で80%、目的達成と成功の確信。
 2000年3月24日(金)

 大会初日、早朝7時からのホテル−会場間ピストン輸送バスにて大会会場へ。  
 右上写真 (大会会場へ向かうバスに乗り込む選手団)

 持参荷物は約30kgにて驚異的な重量で会場へ運搬一苦労。
 会場到着早々2手に手分けして、片や作業実施場所の設営と全武連看板掲載作業に取り掛かる。 
 他方、先発到着材料の受け取りに大会会場内を右往左往、慣れない英語で四句八句、作業場所設営中に早くも女子選手が竹刀の補修に! 多忙な予想の直感、その後作業場設営に2転3転、4回の場所移転後、ようやく作業場所も決まり落ち着く。
 開会式の間、セキユリイテイの関係でひととき大会メイン会場へ出向く。
 後にも先にも仕事待ちはこの時のみ、席に戻る早々選手団の山、持ち込まれる防具の余りの多さに、応援の安信社長もついつい針の尻を押す羽目に、(一張羅のズボンも一緒に縫い込んでご愛敬。ズボンを切らなくて良かったなと陰の声)
 このころ通訳のボランテイア浦田氏登場、少し仕事の交通整理がつきかける。       
 気が付けば午後2時も半ば過ぎ、三々五々手分けして三浦西日本組合長差し入れのビッグな弁当を。
 しばらく後、選手団の依頼の山にて必要材料が手渡し出来ず空を飛ぶ。その間より見慣れた顔、はっと気が付けば全武連会長菱山氏、後ろに美人の才媛の英語ペラペラ協力助っ人。 苦手な言葉もこれにて安心、作業能率も2名の交通整理警察官のおかげで向上。
 それぞれ指が痛くなるのも気づかず夕刻、最終バスに乗れなくなりそうで強引に終了。
 帰りにはこれもセキユリテイの為と、またも持参荷物を担いでホテルへ戻る、その重い事
  
(右写真の日付は時差の関係で25日をさしています)
  




  2000年3月25日(土)

 時差と慣れない外国での3日目、前日の疲れもとれず、さすがに7時半のバスに乗り遅れ、昨日の重い荷物を肩にして会場へ向かうも−−−−。 
 ホテルの前の黄色のスク−ルバスの女性運転手に「I want toええとgo toええと world Kendo place 」「ええと」 「I am staff ofええとこれこれ」とIDカ−ドを指さし必死の英語。 にっつと笑って「OK」で一安心。 こちらではバスもオ−トマチックだなと余計な事。 豪快な女性運転手のハンドル捌きで、7時45分特別臨時バスにてあの有名なインテル本社の横を通り、(横目で、世界のインテルなのに会社が思ったより小さいなとまたまた余計な事) ハイウエイを走らず町中を抜け、以外に早く会場へ着く。
 着いて座ると同時に選手団の山。 即戦時体制、 全員寡黙の人。
 しばらくして菱山会長と才媛助っ人氏登場、昨日にも増して防具を持った多くの選手。中にフインランドの選手の面金破損発見、即、準備の予備面を貸し出し提供、事なきを得る。 
 午後、武安会長、黒瀬役員と共に、内部破損面の現品を確認。
  (左上写真 竹安会長と黒瀬役員 破損面の確認)
 ボランテイア作業も渦中に入ったものの、参加者の疲労度もピ−クにて、少し心配。 U.S.A.係員の運んでくれた昼食弁当を、交代で作業場所から離れてプ−ルサイドで取り、リラックスを計る。
 ビキニスタイルのお嬢さんがいれば最高なのに−−−。太陽のまぶしい事
  (左下写真 後ろのド−ムがメイン会場)
 
 休みはこの15分のみの一日フルタイムで作業に取り掛かるも、今日も本日分こなしきれず、選手に翌日持ち込みをお願いし終了。
 通訳ボランテイアの浦田氏も本日限り、翌日は菱山才媛氏のみ、申し訳なく候−−−  江口武道具社長も見るに見かねてか? 夕食をご馳走下さる。 日本食にて 感謝、感謝 (高価だろうな−−−)

2000年3月26日(日)

 慣れない洋食を受け付けず、カップラ−メンをすすって2日目の頑張る参加者会員と共に、今日はメンテ最終日。 気合いを入れて早朝7時15分の定期バスにて出動。  顔見知りになったU.S.A.役員やバスの運転手とも全員が少し慣れて「Good morning」。
 今日にて作業も終了と、重い荷物も最後の力で「えい」と担いで踏ん張り過ぎ、危うく出場選手の竹刀を踏みそう。 「すみません、すみません」
 行く手の作業場には我々より早くメンテ依頼の選手の顔、顔、 10分間で約30点今日1日で片付くかな−、 
 菱山才媛氏の登場で、事情説明により目前の未作業品の山、増加率減少。 しかしながら午後便への変更に終わるのみか  ああ(少し悲鳴)
 機械的に動く手も本日限りとピッチも上がり、少し余裕のプ−ルサイドの昼休み。−−
 余裕もつかの間、やれどもやれども目前の甲手、甲手、甲手、垂れ、エトセトラ−−− 最早やるのみ、邁進、邁進、 5時過ぎやっと完了。 メキシコ剣道連盟会長と思わず握手、握手、そして記念撮影。
 (左上 メキシコのLic. Adalberto、菱山、両会長とH.ヒル役員そして参加者 )

 ミネラルウオ−タ−と差し入れクッキ−で参加者全員で完了乾杯。
 全員虚脱感とやり遂げた充実感、そして腫れた指先。

 夜の打ち上げパ−テイ−席上で、探し続けた面金破損のフィンランド選手と再会、破損面の説明と廃棄処分の依頼、貸し出し面のプレセント、と少ない時間内での説明と交流に菱山才媛氏大活躍。  彼女の今回の功績、絶大、何度も感謝、感謝。

 最後に主催アメリカ剣道連盟とお世話をいただいた関係役員に、無事打ち上げできた感謝とお礼を。

  (お世話いただいたU.S.A. 剣道連盟、宮原先生、村上先生を中心に、 安藤、三浦、両社長と筆者)
 
大会会場
 Santa Clara University
通訳の浦田氏とビッグな弁当 作務衣をきたH.ヒル先生 参加者全員
 持参材料明細
     品名         数量          寄付会社名
紺革(中唐5枚)      約200dsm    藤岡勇吉本店
茶革(中唐5枚)      約200dsm         ”
白革(中唐5枚)    約200dsm         ”
鹿毛           1束              ”
通関用書類一式                    ”
紺革(中唐5枚)    約300dsm      丸新産業
茶革(中唐8枚)    約400dsm         ”
白革(小唐8枚)    約200dsm         ”
鹿毛            1kg             ”
紺、面紐、胴紐      各10セット     安信商会
先革、中締め、柄革   各10セット        ”
竹刀、38,39      各2本ずつ        ”
竹刀ゲ−ジ        各3セット         ”
作務衣           1式            ”
先ゴム           500ヶ         新衛ゴム商工
鍔止めゴム        300ヶ             ”
面              1ヶ          森武道具
甲手             1組            ”
鍔              5ヶ             ”
竹刀袋                       竹中製作所
 
胸用縫い乳革       60本         持参品
胴用縫い乳革       100本          ”
平胴用乳革        100本          ”
面用縫い乳革       20本           ”
面用平乳革        50本            ”
垂れ縫い紐        50本            ”
牛クロ−ム革       縁用、当て革用     ”
胴用とじ革         約5ヶ分          ”
紺反、刺し地、9A、糸類                ”
甲手紐、江戸打ち、並紐 60本           ”
 
  修理品目明細
甲手修理                   約 200本(400点−500点)
甲手紐変え           
垂れ紐替え                   付け替え、修理50本
胴胸乳革替え                  約40本
胴4つ乳革                    約60
胴胸、縁とじ替え                2点
面当て革等                    約15ヶ
面布団、顎、口綴じ               6点
垂れ縁革当て類                 約40ヶ
垂れ飾り修理                   約15点
竹刀補修、調整                 約10点




協力協賛者
全日本武道具連合会会長            菱山会長他2名様  
西日本武道具組合会長              三浦会長
西日本武道具組合副会長            安藤副会長
九州山口組合                    江口会員
 
  ボランテイア参加者氏名

東日本地区  代表                 西山 啓一
西日本地区  代表                 小島 衆司
九州山口地区 代表                 高根 勝徳

統括                           森下 捷三