左画像の奥の面に比べ、手前側の面は十分上部分に盛り上がっているのが判るでしょう。
面布団の厚みと堅さを手で触れていただけないのが残念ですが、善し悪しを一見して判るポイントがあります。
それは天部分の面布団いせ込み。 (上方向への面布団の盛り上がり)。
このいせ込みにより、面を打たれたときの衝撃を感じる度合いが大いに変わってきます。
同じ素材、厚み、縫い面布団が使ってあっても、いせ込みが有る無しで痛みの感じ方が倍くらい変わります。
同一面が仕立て直しして痛く感じなくなったと言う声を聞く例が多々あります。
ひとえに天部分のいせ込みによります。
面は顎を頬輪の下部に入れて火打ち(天地)につけてからおでこ部分を入れて着装します。
が、こうした天部分のいせ込みの無い面をかぶってみると、顎を頬輪に入れるのがやっとで、顎から入れれば頭の上部が入らず、 上部から面を被ると顎が入らずと、無理に入れても頭の上部分は後ろに飛び出し危険きわまりない。 ましてや頬骨につかず、頬輪の役目以前の問題で、頬輪の意味がありません。
顔が入らないので物見(面金間の一番広いところ)が合う筈もなく、相手の動きを見る事が出来ません。 ジュラ面金を使っても前が重くなり、面が下を向き、視野も狭くなり、こんな面ではもう剣道が出来るわけがありません。
にもかかわらず「天のいせが無い、天の平らな面を」と言う剣士が多くおられます。 「的が小さいから」と言う理由と、「格好いい」と。
とんでもない。 これほど不細工な面が。 こんな物は防具の面ではありません。
十分面の中に顔が入り、頬輪で面を支え、物見が目線にあって相手の剣先が見え、気合いが掛けられる面、 そして打たれ痛くない、動きやすい、丈夫で長持ち、こうした面が本物です。
大人で合っても顔サイズ65cm以下では13本面金を使うべきと考えます。 13本面金使用で剣道が損なわれるわけではありません。
全日本剣道連盟の「剣道具の企画書」で大人は13本面金の使用禁止を謳っていることはありません。
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