610せんせのブログ筋論?スジ引きの話と言うタイトル中
冒頭から何度も何度もYOUーTUBEの画像とリンクされ、実演画面が紹介されています。 https://kendomix.com/610/archives/2611.html
そのYou−tubeで紹介されている中に材料説明がありますが、面金素材の説明で 「ジュラよりチタンの方が衝撃吸収性に優れている」と表示がされています。
又、動画の中でも同じような説明をしている場面があります。
これは正反対で間違っています。
面金メーカーに確認をとっていますか?
面金メーカーは剣道具以外にも銃剣術用面金、や逮捕術、拳法、空手、等多くの武道用面金を制作しています。
全国各地の警察や防衛庁、各武道団体の防具を納品していますが、誤った事実を公表、表示されては迷惑です。
「金属」、面金については洋銀といわれる「鉄」からいまは「チタン」が主に変わりました。
「ジュラルミン」などはより軽いですが、耐久性、安全性ということでは問題を持ちます。
剣道具材料編でもこう書いていましたが、洋銀と鉄とは違います。
剣道具に使う鉄は軟鉄(Fe)、洋銀は銅とニッケルと亜鉛の(Cu, Ni, Zn,)合金、
500円硬貨で判るとおり銅が50%以上含まれ、柔軟性も有り、耐食性にも比較的優れているので面金素材には適材とされていました。
耐久性、安全性については何が、どう問題なのか?こういった表現は誠に迷惑です。
これは対数減衰率と言って金属の振動数をグラフで表した物です。
AL合金との表示が面金素材、下部の「Ti合金」がチタン面金の素材です。
ジュラルミンはアルミニウム合金のひとつで、純アルミニウムに添加元素を加えて強化したもので、アルミ合金の中でも機械的強度を高めることに重点が置かれています。
面金メーカーは剣道具にはアルミの中でも強度のある素材を採用して製作しています。
しかしチタンの強度にはかないません。
剣道面金に使用するとなると、竹刀の衝撃に対して受ける部署と軽さのマイナス要因とか、頸椎への負担等、製作に当たり総合的な見地が必要です。
衝撃吸収性においては今の段階では衝撃吸収性は軟鉄素材が最高です。
その衝撃吸収性を求め各種金属の特性を生かして、瞬間の衝撃に対応したり、柔軟に対応したり、と、日々研究しています。
中級者対象の防具には、竹刀の衝撃ピーク値が大きくなくてもピ−ク到達時間が遅く、衝撃時間が長い事実に合わせ、面金には柔らかい素材を、ジュラルミンを使っています。 対して
高段者の竹刀衝撃は、ピーク値が高く、瞬時に到達しますが、衝撃時間は長くありません。 結果ピーク値の大きさに対してジュラより強度のあるチタンを使用しています。(各面金メ−カ−は、種々金属組み合わせを勘案して製作しています。)
竹刀の衝撃力測定を京都大会会場で
面金工業界では、平成18年度の京都大会で「面金製造」をテーマに橋本会員、高井会員が全日程間担当をつとめ、面金の作り方から金属の構成、強度などをサンプル展示し、連日剣士の皆様に見ていただきました。
京都大会会場での面金工業界のメンバー画像
又、全日本武道具協同組合主催の「剣道具講習会」を東京代々木オリンピックセンタ−会場にて自由参観で行っています。
「面金」もメインテ−マとして多くの参加者に講習を行っており、こうした単純ミスは起こりえないはずですが−−−−。
拳法や空手、徒手格闘技、等の、竹刀ほど衝撃の無い武道に対しては最も適した素材として採用しています。
上記武道にたいし、強度のあるチタンを使って生身の足先や手を痛めたらどうしますか?
衝撃吸収性は日本鉄鋼素材協会の耐震減衰率表でもジュラルミンの方が衝撃吸収性が良いことが証明されています。
この件は 日本武道学会剣道専門分科会にも資料を添えて報告いたしました。
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